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小西規之

 愛犬ダルメシアンのポピーが誕生日の一日前に死んでしまった。
 前の日まで、元気に九階まで階段を登り降りしていたのに、あくる朝、足がぶらぶらして歩けなくなった。どうして自分がこんな状態なのかわからないのだろう、その様子が、うんと悲しくて涙が出て来た。その日の夕方ポピーちゃんはあっけなく息を引き取った。ポピちゃんと毎日楽しく過ごしたこと一生忘れないからねと犬を抱きしめて泣いた。私はポピちゃんが動けなくなった時は介護しようと、寝たきりになってもいいように台車を造って車をつけ散歩しようと、あれこれいろんな事を考えていたのに、ほんとに涙もあいさつも未練もなく一瞬で死んじゃったことですっかり気が抜けてしまった。
 のこされたもう一匹のチワワのチコがポピーちゃんが苦しそうな息をしているおなかに、背中をくっつけてじっと同じかっこうでいたのに死のまぎわには、さっとはなれてけっして近づこうとはしなかった。きっと犬どうしお別れをしたのだろう。ポピーちゃんにできなかったことしてやれなかったことをこの子にうんとしてやりたいと思う。
 今がゆっくり過ぎ、ずっとこれからも続くといいと思う。
 切ないけれど 幸せな日々が…