ロータリーの誕生と歩み、そして2つの標語
19世紀末になって、米国が急激な世相の変化の中で、人心が荒れすさんでいるのを見て、青年弁護士ポール・ハリスは、5年間もの間考えあぐんだ末ある種の団体を作ることを思い立ちました。それはさまざまな業種から一人ずつ政治や宗教に関係なくお互いの意見を広く許し合えるような人を選び出して作る親睦団体でした。そして1905(明治38)年2月23日気の合った石炭商のシルベスター・シール、仕立業のハイラム・ショーレー、鉱山技師のガスターバス・E・ローアの3人で第1回の会合が開かれました。3月23日には第3回目の会合が開かれ、形式も整いクラブ名もポール・ハリスの提案で会場などの持ち回りを表現したロータリークラブが採用されました。
1906年1月、丁度シカゴクラブの創立1周年の前に、定款・細則を決め、綱領も定まりました。
その綱領は、主として会員の相互扶助と親睦が目的であって初期のロータリーの互恵主義といわれるもので、会員間の相互取引を義務づけて、それを報告する統計係が、例会で発表していたのですが、2代目会長R・ホワイトが、その友人の弁護士ドカルド・カーターに入会を勧めた時、「仲間の利益だけを求めるような社会性のない会では発展がない。 又、そのような会では長続きしない。」と断られ、網領の第3にシカゴの地域社会の利益を推進し、その市民に対する誇りと忠誠の精神を普及する項目を入れたのであります。
1907年対社会的な目的達成の事業として、シカゴ市に公衆便所を作ることを提唱し、市民運動となって実践されたことは歴史的に非常に有名なことです。
ポール・ハリスが第3代目の会長となった頃、ロ一タリーを全米に拡るという希望が生まれ、1910年には16のロータリークラブによって全米ロ一タリ一クラブ連合会が結成されました。 サンフランシスコに第2番目のクラブが誕生し、その年に入会したアーサー・フレデリック・シェルドンは、世の中に役立つような標語が必要であるとして、
"He Profits Most Who Serves Best"
(最もよく奉仕する者、最も多く報いられる)
が生れました。 又、米国だけではなくカナダ、ウイニペックにもロータリークラブが誕生し、1911年には英国にも生れ、 「The Rotarian」が発刊され今日に至っております。1920年にロータリアン誰もが適用できるように"Service Above Self"(奉仕第一、自己第二)(超我の奉仕)という言葉、先シェルドンの"最も良く奉仕するもの、最も多く報いられる。"と共に、現在に至るまで標語となっています。1912年にはロータリー国際連合会The Intenational Association of Rotary Clubができ、1922年にはこれが国際ロータリーRotary Internationalと改められ現在は163の国家及び地域に拡げられ、クラブ数30,149、会員数1,188,492名(2001年12月31日現在)に達し、毎日会員数が増加しています。
日本ロータリークラブの創設
三井銀行の重役である米山梅吉氏が日本政府の財政調査団に加わり1918年テキサス州ダラスに赴いた時、ダラスロータリークラブ会員であった三井物産の福島喜三次氏よりロータリーの話を聞き大いに心を動かされて帰国した。1920(大正9)年福島喜三次氏が帰国、その際ダラスロータリークラブより日本にロータリークラブをつくることを勧められ、シカゴの本部からも依頼されていたが、当時の日本ではその創設は容易なことではなかった。ようやく9月1日設立準備会を開き、10月20日には24名の創立会員が出席して創立総会が開かれ(会長米山梅吉氏、幹事福島喜三次氏)、翌1921(大正10)年4月1日に国際ロータリー加盟が承認されました。これが、我が国における最初のロータリークラブの創設です。その後、福島喜三次氏は大阪に転勤になり大阪に於いてロータリークラブの創設に尽カされ、1922年11月に大阪ロータリークラブを創設されました。1924年8月神戸、12月名古屋と相次いで主要都市にロータリークラブが創設され、東京ロータリークラブが誕生して5年目、1925(大正14)年10年7日に我が京都洛中ロータリークラブの親クラブである京都ロータリークラブが創立され、同年12月24日加盟が承認されました。しかし、不幸にも太平洋戦争のため、日本のロータリークラブは国際ロータリーから脱退のやむなきに至りましたが、ロータリーの精神を堅持、会合につとめ、ロータリーの真髄と組織を維持しました。その努カが認められ、戦後1949(昭和24)年国際ロータリーへの復帰が認められました。
戦後の目覚しい我が国経済復興の波にのって、日本のロータリーも素晴らしい発展を見せ現在、北は北海道から南は沖縄までクラブ数2,319、会員数115,321名(2002年4月末現在)にも達し、世界第2位のロータリー国となり更に発展をし続けています。
ロータリーの目的
ロータリーの目的は、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育成し、特に次の各項を鼓吹育成することにある。
- 奉仕の機会として知り合いを広めること。
- 事業及び専門職務の道徳的水準を高めること。あらゆる有用な業務は尊重されるべきであるという認識を深めること。そして、ロータリアン各自が業務を通じて社会に奉仕するためにその業務を品位あらしめること。
- ロータリアンすべてがその個人生活、事業生活及び社会生活に常に奉仕の理想を適用すること。
- 奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界的親交によって国際間の理想と親善と平和を推進すること。
四つのテスト
四つのテストとは、ロータリアンとして日常の生活の中で、ロータリーの綱領を達成する手順の一つとして、ロータリアンの行動の指針として推奨されているのもです。 「規則」として取扱ってはいけないことになっています。このテストは1933年ハーバード・J・テーラーによって発表されたものであります。訳は1954年に募集され本田親男氏のものが採用されました。
言動はこれに照らしてから
- 真実か どうか
- みんなに 公平か
- 好意と友情を 深めるか
- みんなのためになるか どうか
ロータリーの行動規範
ロータリアンとして、私は以下のように行動する
- 個人として、また事業において、高潔さと高い倫理基準をもって行動する。
- 取引のすべてにおいて公正に努め、相手とその職業に対して尊重の稔をもって接する。
- 自分の職業スキルを生かして、若い人びとを導き、特別なニーズを抱える人びとを助け、地域社会や世界中の人びとの生活の質を高める。
- ロータリーやほかのロータリアンの評判を落とすような言動は避ける。
- 事業や職業における特典を、ほかのロータリアンに求めない。